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センターニュースNo.41

巻頭言

新年にちなんで、『私』も細胞が入れ替わって新しくなる?!

私たちの人体は、毎日細胞が入れ替わっているとのことだ。いわゆる新陳代謝である。まず古くなった細胞が死ぬ。すると、その近くにある若い細胞が2つに細胞分裂して、そのうちの1つが死んだ細胞の入れ替えをするとのことである。つまり失った細胞の補充をするというのだ。この
入れ替えの周期は、組織によって異なる。

胃の粘膜:約3日
腸の微絨毛:約1日
肝臓:約1年
腎臓:約1年
筋肉:約200日
皮膚:約1ヶ月
血液:100~120日間
骨 :約4年
肌 :10代は約20日、20代は約28日、30代は約40日、40代は約55日、
   50代は約75日、60代は約100日

私たちの細胞はおよそ4年でほとんど新しいものと入れ替わるということで、だから「別人」になってしまうのだと言いたいところだが、そうではない。老化した細胞から順番に、かつ徐々に入れ替わっていくので、その姿形が変化することはありえないのだ。さらに、細胞の入れ替えをしない組織があるのだという。それは心臓を動かす心筋細胞と脳や脊髄を中枢とし全身に信号を送る神経細胞である。特に脳は生まれた時にほぼ全部の脳細胞ができあがっており、入れ替わることはないという(むしろ基本的に減っていくばかりだから、高齢になって記憶も失ってしまうと、そういう意味で新しい「自分」になってしまうことはある)。

さて、人体の細胞がいくら新陳代謝で入れ替えしても、肝心の脳が変わらなければ、私たちは別人にはなれないのだ。過去の自分におさらばして、新しい自分になりたいと思った時、私たちは「心を入れ替える」と言う。「心」とは脳のことだ。奇しくも脳の細胞は入れ替わらないけれど、考え方を変えるゾという強い決心を表す言葉だと思う。まさにコレこそが脳の役割だ。

ところで、生徒や学生が卒業した学校に新入生が入ってきても、その校風が変わることはない。不思議だなあと思うのだが、在籍している生徒や学生はその校風に染まっていくように感じる。「君たちは○○校(○○大学)に入学したのだから、△△のように振る舞わないといけない。先輩がしてきたように君たちもするように」と求められているかもしれないし、在学生自らが積極的に染まろうとしているのだろうと思う。語弊があるかもしれないが、私たちの人体を学校という組織に当てはめてみると、生徒や学生は入れ替わっていく細胞で、何かが脳なのだと考える。不変であるべきもののなかには悪しき慣習も含まれていると思う。コレは時代錯誤的な悪しき慣習なのかどうか、脳は判断しなければならないのだ。細胞が異を唱えるには勇気が必要だからだ。脳が聴く耳を持たなければ、簡単に入れ替えられてしまうだろう。

ちなみに、人体の細胞でも突然変異を起こす細胞があるとのことだ。それが環境変化に適応していく「進化」なのだと言うらしい。

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