巻頭言
『死後事務』というコトバ
先日、弁護士と話しをする機会があり、その際にその弁護士から「死後事務」というコトバを耳にした。「死後事務」とは、文字通り自分が死んだ後に行わなければならない事務手続きのことだ。人は必ず死ぬ。この事実は誰もがわかっている。ところが、健康な人、ひとまず健康だと自認している人の多くは、自分が明日死ぬかもしれないとは考えていない。“ いつかは絶対死ぬんだけどサ・・・でもサ、すぐには死なないよね、きっと。確かにサ、その時の準備はしておかなきゃいけないけれどサ、まあ、そのうちしておけばいいよね” と考えて生活しているのではないだろうか。そして、それは自分の親の死についても同じように考えているように思う。ゆえに自分や親が死んだ時については準備していないから、一抹の不安がある。筆者も同じだ。死後の準備は少しずつしか進めていない。だから、まだお迎えに来ないでねと神社仏閣その他関係各所で手を合わせて切に願っている。
さて、「死後事務」について考えてみよう。どういう手続きがあるのだろうか。家族がいればその家族がするわけだが、家族がいない場合は第三者がすることになるので、前もってその第三者を誰にするか決めて、依頼しておく必要がある。
「死後事務」の主なものは次の通りで、カッコの中は本人にしかできないことだ。それをしておけば、第三者は本人の意思に則って粛々と事を進めてくれるのだ。
- 亡くなった後の関係者への連絡( 関係者の選定とその連絡先をリストアップしておく)
- 死亡届の提出と火葬許可証の受領
- 葬儀や納骨の手続きと本人が希望するプランの実施( これらの一連について具体的なプランを立てておかなければならない)
- お墓や永代供養の手続き
- 生前に残っていた支払いや契約の解除( 特にモバイル等の解約手続きにはパスワードが必要になる、どこにいくら支払うのかリストアップし、支払ってもらうために必要な現金も用意しておく)
- 社会保険や行政への届け出などの手続き
- 家の片付けや遺品整理( 現金の保管場所が思いもよらない場所になっていたりする。前もってその場所を誰かに教えておくことに抵抗感はあるけれど・・・ね)
ところで、筆者は1 0 年ほど前からこんなことを考えていた。それは自分のパソコンなどに入れたデータの消去についてだ。家族に見られたら「マジやばい! ( 汗) 」というデータもあったりするのではないか。そして、それは誰にも絶対知られないように速やかに消去してほしいと願うのではないか、ということだ。だから、その消去は、死後の自分の尊厳を守るための必要不可欠なことなのではないかと考えたのだ。データ以外にも何かそのようなブツもあるかもしれない。筆者はこのことを、『死後の福祉』だと考えている。
当センターでは、これらのことも含めて、「死後事務」について新規事業として何ができるのか検討してみたいと思っている。
だって、筆者も死後の自分の尊厳を守りたいので・・・・・テヘ。